江戸の庶民は、季節感にあふれた暮らしを取り入れていた。とくに、五節句は一年の重要な節目として広く祝われ、年中行事や祭礼、厄払いを意味する風習や行事にあわせた食を楽しむなど、季節によって様々な慣わしを歳事として生活に取り入れた。
また早寝早起きだった江戸の人々は、一般的に日の出とともに起き、日が沈むと床に就くような習慣で、規則正しい生活を送っていた。昼間は仕事や家事に勤しみ、子供も寺子屋や稽古に通ったり、家の手伝いをするなど、各々の生活があった。
江戸に暮らす人々の職業は、職人や大店(おおだな)の商人、市中を行商する棒手振(ぼうてふり)や日雇取(ひようとり)など、きわめて多種多様であった。江戸という大都市には仕事がたくさんあり、働きさえすれば、食べていくのに事欠かなかった。こうしたなかから、自分の仕事に誇りを持ち、きっぷのいい江戸の職人気質(かたぎ)が生まれたのである。町民の女性は、夫とともに仕事に従事するものも多く、賃仕事や手習(てならい)・芸事の師匠などさまざまな仕事を持って生計を支える者もいた。
働くだけでなく余暇の楽しみとして、旅や物見遊山(ものみゆさん)といった行動文化のほかにも、園芸や動物の飼育など外出せずとも楽しめる娯楽が流行した。
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