大消費都市・江戸では、多種多様な商人が活躍していた。御用達商人は将軍家や大名・旗本からそれぞれ指定された、武具・呉服類から魚・野菜などの日用品の商品にいたるまで調達していた。江戸根生い(ねおい)の大商人には、魚河岸(うおがし)の問屋商人や蔵前の札差(ふださし)、深川木場の材木商がいる。各地からの商品の荷受けや仕入れをする問屋の多くは、同業者同士で株仲間を取り結んでおり、仲買商の手を経て、小売商が庶民相手の販売をしていた。なお小売商の一種に、棒手振(ぼてふり)をはじめとする行商人がいた。
江戸時代の初めには商品の売買は市(いち)で行われ、物々交換も多かったが、商業の発達にともない常設店舗が増え、市は寺社の縁日や盆暮などにあわせて開かれるにすぎなかった。
魚介類や野菜を小売商や行商人に卸す取引には、魚市場(魚河岸)・青物市場がこれにあたった。盛り場には露店が出されていたが、そのなかにはやがて常設化するものもあった。
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