江戸時代は各地・各種のニュースを題材とした庶民向けの一枚刷の印刷物が多く出された。これを一般に<瓦版(かわらばん)>と呼ぶが、その呼び名が文献に登場するのは幕末になってからで、それ以前は<絵双紙(えぞうし)> <読売(よみうり)>などと呼ばれていた。瓦版は速報性を要求されるものであるため、無届けで版元も示していないものが大部分であった。
瓦版の題材としては、火災・地震などの災害速報が第一にあげられる。とくに安政大地震に関するものは非常に多く、鯰絵(なまずえ)が多数印刷された。他には敵討(かたきうち)・珍談奇聞(ちんだんきぶん)・世相などを扱ったものがあり、ペリー来航以降は政情を題材としたものが増加した。
瓦版を新聞の前身と考えるならば、週刊誌的要素の強いものに見立番付は相撲番付の形式にならい、金持ちや有名人・流行・風俗などを番付化したものである。
江戸には、瓦版の内容やさまざまな話を克明に記録し、情報として売っていた人もいた。また、髪結床(かみゆいどこ)や湯屋(ゆや)は庶民の情報交換の場でもあった。
著名な禁書一覧後日アップしますのでお楽しみに。
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